PUNK ROCK TV#1

2015.5.1


コラム第2回目となる今回は1995年4月にスペースシャワーTVの番組内に月一で始まったPUNK ROCK TV(前回のコラム参照)について書こうと思います。

さぁ、ついに大好きなパンクだけを紹介する番組を始められる事になった当時24才のウギチン(気持ちも言葉使いも24才に戻します)。あの頃はGreen Dayなんかが有名だけどアメリカのEpitaph RecordsからリリースしていたBad Religion、NOFX、PENNYWISE、The Offspring、RANCIDなどが大人気で他にもNYハードコアのSICK OF IT ALL、Murphy’s Lawなどアメリカのパンクが完全にキテた。音楽だけじゃなくスケートボードやファッションなどストリートカルチャーとして盛り上がり日本でも渋谷のレコードショップ”CISCO”が新たにラウド店を出すなどパンクロックの情報が街中に広がっていった。そんな中PUNK ROCK TV#1はオープンしたてのCISCOラウド店の店内でヒカル君とそこで働いていた小松君(COKEHEAD HIPSTERS)でオープニングトークを撮影した。そしてPUNK ROCK TVでは毎回、来日するバンドや国内バンドのライブを撮影して紹介するスタイルをとっていたんだけど最初のバンドは渋谷ON AIR WEST(現O-WEST)で行われれるSICK OF IT ALLの来日公演に決まった。PUNK ROCK TV初のライブ収録だから気合いが半端なかった。

しかし、しかーし!当時のオレはスペースシャワーTVの生放送番組でADをやっていて、その仕事を迷惑かけずにやった上で好きな事をして良いという条件だった。カッコ良く言うと二足のわらじなんだけど、当時の生放送スタッフはチーフディレクターとオレと入りたてのアシスタントの3人という少数精鋭。PUNK ROCK TVは番組MCのヒカル君とオレの2人という超少数精鋭。これ以上人数は減らせないというギリギリのスタッフで制作していた。週一の生放送は本番が終わると次の企画会議→取材→VTR制作→資料作りといった感じであっという間に次の放送がくる。いくらやりたい事をするからといって、その仕事に穴を開ける訳には絶対にならない。話を戻すと記念すべきPUNK ROCK TV初ライブ収録の日、他に頼めるスタッフも居ない中、夕方から生放送のVTR編集をする事になってしまった。編集が終わってからだとSICK OF IT ALLのライブスタートに間に合わない「やばい!どうする?どうしたら良い???」知識も経験もないオレが出した答えは「ヒカル君に撮ってもらう」という暴挙だった。当日、リハーサル時に会場へ行き2階席にカメラのセッティングを済ませヒカル君に「このボタンを押せば録画されます!ライブが始まる前にこのボタンを押してください!」と言って会場を出た。「もしかしたらライブスタートが遅れたりフロントアクトもあるし、早めに編集終わって間に合うかもしれない」そんな事を考えながら生放送の仕事を終わらせ速攻で渋谷に向かった。

結論から言うと「もしかしたら」なんて事はなく会場は熱気ムンムンでライブは始まっていた。2階席のヒカル君の元へ駆け寄ると録画ボタンはバッチリ押されていて大盛り上がりのSICK OF IT ALLライブは映像に納められた!

パンクバンドのライブ映像が観れる番組がほとんど無い時代、とにかくカッコイイ音楽を映像で観てもらいたいって思いで始まったPUNK ROCK TV の記念すべき第1回はこうして放送された。

はい、ここで色んな事を学びました。

まずはスケジュール管理、コレ絶対!ただし「出来ません」じゃなくて若いうちは何としてでもスケジュールぶち込んで全部やりましょう。次に音声の事を全く考えてなくてカメラで録音された音は割れまくりで使えず。CDの音源にライブ映像をエフェクトかけまくって合わせるという苦肉の策で対応。前向きに考えたらPVみたいな感じ!次からは録音機材(当時はMDレコーダー)を導入しました。そして、1台の定点カメラのみだと臨場感が出ないので3台のカメラで撮影する事にしました。後にこれは、1台でもカッコ良く撮れるという領域に辿り着きました。

こうやって改めて考えると当たり前の事が何ひとつ出来てないですね。でもね、それで良いんじゃないかと思うんです。最初から方程式に当てはめて完璧を求めるよりも、気持ちひとつで飛び込んで上手くいかない中から工夫してオリジナルな物が生まれるんじゃないかと。英会話も一緒、ちゃんとした文法で喋れないからってモジモジするよりも単語だけでも言って気持ちが伝われば良いんです。そりゃ長くやってると経験値で何とかなる事もあるけど、新しい事にチャレンジする時は今でもこの精神です。

こんな感じでスタートしたPUNK ROCK TVは自分の物作りの基本でありライフワークとして続いてます。

さぁ、次回はPUNK ROCK TVと同じくらい自分にとって大きな存在のHi-STANDARDとの出会いについて書こうと思います。

COLUMN

MENU